名馬探訪

■スイープトウショウ



スイープトウショウ号

今回は、3才牝馬クラシック最後のGTを見事に制したスイープトウショウの生産者であるトウショウ牧場さんにお話を聞きました。





当歳当時のスイープトウショウ
Q.初戦を勝ち上がり2戦目で早くも重賞であるファンタジーSを制し、能力の高さを証明したわけですが、牧場にいた当時のスイープトウショウはどうのような感じでしたか?



A.馬房からは出ない、人間にはつかませない等、とにかく変わり者で天才か気性が悪いのかどちらかという感じの馬でした。

1歳のスイープトウショウ
Q.3戦目(GT ジュベナイルF)では前走の強い競馬内容で、堂々の1番人気に押されましたが、足を余しての僅差で5着という結果に。この時負けて強しの印象をうけましたが?


A.いわば、2歳牝馬のチャンピオンを決めるレースでしたから、十分勝つ力がありながら、あの様な形で負けてしまい彼女が可哀想でした。

新馬戦の時のスイープトウショウ
Q.どのあたりからクラシック(GT)を意識し出しましたか?



A.デビュー前から、素質が高く上を狙えると調教師の先生に聞き、新馬戦の勝ち方で確信し2戦目は重賞にぶつけようと決めていました





戦   歴 9戦5勝
性   格 素質・能力はズバ抜けて良い。他の馬とは違い、今は素質で走ってるような感じ
賞   金 253,900,000円
脚   質 追込
血   統 父  エンドスウィープ
母  タバサトウショウ
          
競走馬名 主なレース(1着) 脚質 賞金
トウショウボーイ 有馬記念・皐月賞・宝塚記念・高松宮杯・京都新聞杯等 好位差 280,774,800円
ヌエボトウショウ 北九州記念・愛知杯・朝日CHC・京都牝馬特別・サファイヤS 差し 335,026,600円
トウショウファルコ AJCC・金杯・東スポ杯オープン・フェアウェルS等 逃げ 229,921,000円






秋華賞のトライアルレースであるローズステークスにてまさかの3着でしたが関係者としての心中はどうだったのですか?私達からすると休み明け初戦でまずまずの出だしと思っていたのですが。
正直、かなりショックでした。久々ということと、ジョッキーからの仕掛けがいつもより早かったとは聞きはしましたが、やはり血統面での早熟面や距離の不適正なのかという不安がわいてきました。
それでは本番の秋華賞では自信はどの程度あったのですか?
トライアルレースがあのような感じでしたので、半信半疑でした。レースが始まり、京都の内回りコース後ろから2頭目であるのをテレビで確認し「ダメかも」と思い最終コーナーを回り直線に向きテレビ画面からスィープトウショウが消えたときに「終わった」と正直思いました。
しかし、ゴール手前で外から追い込んできて先頭だったヤマニンシュクル号を並ぶ間もなく交わしてゴールしたときは驚きました。
本当に強かったですね。
さて、秋華賞が終え次ぎは、古馬との対戦となるエリザベス女王杯ですが、1番人気でレースを迎え、前日までの雨での馬場コンディション等は気になりませんでしたか?
馬場はオークスの時、稍重でも追い込んできていたので全く気になりませんでした。
それより、とても気むずかしい馬なのでゲート入りや、うまく走れる気になってくれるかが心配でした。以前、調教師の先生に聞いたのですが人間にたとえると普通の運動選手は準備運動をしてから本番に入るが、この馬の場合は起きてすぐ本番に入るみたいなものだと。
それと、レース運びがいつも最後方ですから、ハラハラドキドキの心臓に悪い一番人気でした。
不安通り当日は集中力を欠いてしまい返し馬も出来ず、いつもの様にゲート入りせず道中も手前を何度も変えてしまいチグハグなうちに終わってしまいました。
5着という残念な結果に終わってしまいましたが、古馬となってからの今後の予定は?
血統を見る限りではマイルまでが良いのでしょうが、中距離レースでは内容も成績も安定していることからこの方向が向いているように思います。
ただし距離や馬場の問題以前にやはり気性難を直さなければレース自体に出走できないことから聞き分けのいい子になってくれることを一番望みます。




 牝馬としては実に39年ぶりに宝塚記念を制したスイープトウショウ号。前回の取材の際(エリザベス女王杯後)、志村吉男場長は「今後、古馬や牡馬を相手にするには、今の気性では通用しないかもしれない」又、「ゲート試験をクリアしなければレース自体に出走出来ない」と不安な一面をあげてくれましたが、その不安を一掃するようなGTレースでの激走。
 彼女は大人の女性になったのかもしれません。




                                         写真提供:競馬ブック





スイープトウショウ号の宝塚記念出走時裏話やエピソードを聞いてみました。


今回の宝塚記念は、今までのレース振りとは一転し、レース序盤は中段につけ、4コーナーから先段に取り付き、直線で先行勢をとらえた後は、後続を封じるという「横綱相撲」でした。
 あの競馬が出来るならちょっと負ける気がしないのですが、やはり彼女が成長した証なんでしょうか?
 私もあんな競馬が出来るなら、何でもっと早くしなかったのかな?と思いました(笑)これは冗談ですが、きっと今まではしたくても出来なかったんだと思います。ここに至るまでの関係者の努力の成果だと思います。
 昨年のエリザベス女王杯後、恐怖の「ゲート試験」が待っていると言われてましたが今のスイープトウショウがあるということは、無事、合格したのですね?
 正直、かなり不安でした。過去に優れた競走成績や能力を持ちながらゲート難で、ターフから姿を消した名馬を何頭も知っているだけに、最悪、繁殖入りまで頭をよぎりました。ゲート試験自体も少人数の場所でするのではなく、開催日の最終レース終了後、まだ観客がいる中、ファンファーレまで付けるのですから、ゲート試験に向け元ジョッキーだった山田調教員にビッシリ稽古をつけてもらいました。
結果は拍子抜けするくらい、あっさりクリアーしてくれましたよ。
それは気性的にも大人になったという事なのでしょうか?
 いえいえ、彼女にしてみればちょっと良くなった程度で、他の馬たちと比べるとまだまだです。未だに坂路で物見をして立ち止まってしまったり(5分程度、過去には1時間近くしていた実績あり)レース前の本馬場入場のとき立ち止まったりと相変わらずですよ(笑)
 逆に、今の気性で現在までの成績をおさめているのであって、気性が良くなると走らなくなるのでは?という心配はあります。ただ、GTを2勝もしているんだから坂路で立ち止まっても大目にみてもらえないかな?(笑)
宝塚記念直前に何か調教師の先生とはお話しましたか?
以前と比べ、調教が強く出来るようになったと聞きました。又、運動に彼女が耐えられるような体と気性になったことから「まだまだ強くなるよ」と言われました。
 普段は決してこのような発言はしない調教師なので余計伝わってくるものがありました。今回のレースにしても安田記念を終え、中2週のローテーション、繊細な牝馬なので軽めの調教かと思っていたら、強めでビシッビシッ追っていたので正直「オイオイ大丈夫かな?」(笑)と思いました。しかし、当日はプラス体重での出走でしたから、体調も良かったのかもしれませんが、先生の言われたとおりだと思いました。
今後は、春競馬のグランプリを制しチャレンジャーではなく、女王として受けて立つ側になりますが、今後のローテーションと路線をお聞きしたいのですが。
秋の目標は天皇賞かエリザベス女王杯となりますが、今年はあの馬(ディープインパクト)が三冠を最大目標にして天皇賞には出走してこないから天皇賞かな?
 その前哨戦の毎日王冠あたりからの始動となります。
又、路線的には安田記念の結果からやはりマイル適正かと思ったら、あの宝塚記念のレース内容ですから、ウ〜ン(悩)
気になる彼女の兄弟はどうなんですか?
今年、弟(父 クロフネ)が生まれ、今年の種付けはキングカメハメハです。
今年生まれたばかりの弟(父 クロフネ)         お母さんと一緒に草をはむ姿が愛らしい・・・

未来の「スイープトウショウ」に注目!!
今後においてトウショウ牧場が目指すところは
芝、ダート、距離についても一頭で万能に対応するのではなく、飼養している数多くの繁殖牝馬に新しい血脈を入れ、それぞれの条件のスペシャリストを生産することです。
喜び一杯の志村場長へのインタビューでしたが現状の栄光で満足することなく、更なる高み目標をおいて日々飼養管理に努めている姿が印象的でした。
 皆さんも、彼女が更なる活躍できるよう応援お願いします。



花壇の花文字に注目!「TOSHO」の文字が。この翌週にはシーイズトウショウが2年連続で函館スプリントステークス(GV)で優勝!さらなる名馬誕生に期待します!


トウショウ牧場さんのHPはこちらから